チープ・オーディオ(USB-DAC編)①

さて、オーディオマニアの世界では、安い機材で楽しむオーディオの事を、「ピュアオーディオ」という言葉に倣って、「プア・オーディオ」なんて呼んだりする。

だけど、「プア」なんて呼んでしまうと、なんか音までダメな気がしてしまうけれど、実際「高い機材が必ず良い音を出す」なんて幻想だ。特に僕が取り組んでいるようなPCオーディオについてはなおさらだ。

少なくとも「高い機材でしょーもない音を出す」よりか「陳腐なシステムでこんな音がが!!」の方が千倍もオモロい。だから、僕はプアオーディオなんて呼ばないで、チープ・オーディオという言葉を推進していきたい。

おっと、最初から脱線するというとんでも無い事態であるが、今回はチープオーディオの要、DACから話をしよう。




過去にDACなんてものが、これほど注目を浴びたこともないだろう。そんな風に思う程、最近はDAC関連の記事が増えているような気がする。その原因は明白だ。つまり、それが「ハイレゾ」だ。

オーディオをかじった人にとって「ハイレゾ」対応という言葉ほど、人々を惑わせる言葉も無い。言わばハイレゾとはオーディオ界のユートピアだ。ハイレゾはとても幻想的だ。なんせデータ量が増えているのだ。音楽CDが44.1kHz/16bit(細かい話は省く、44.1kHzが波形のギザギザのなめらかさ、16Bitが信号のレベルをどれくらい細かく分けるか)という規格でだいたい5分で50MBぐらいの容量であるのに対し、ハイレゾの192kHz/24bitの場合は約6.5倍となり、325MB程度のサイズになる。

これは「良くならないわけがない」だろう。

だから、メーカーはハイレゾ対応を謳い、いまやイヤホンとかスピーカーまでもがハイレゾ対応(ここ笑うところです)なのである!

ここで重要になるのが、先ほどから言っているDAC(Digital Audio Converter)といった機械である。DACという機械が何をやっているかというと、簡単に言うと、0と1で表現されているデジタルデータから、スピーカーを駆動するための波形信号(交流電流)を生成するための機械である。

先ほどから言っているハイレゾ対応とは、この入力としてのデジタルデータとしてどれだけ細かいデータを取り扱えるか、という事を指している。つまり、出力される波形信号はハイレゾだろうが、ハイレゾじゃなかろうが、同じである。先ほどハイレゾ対応のスピーカーで笑おうと言ったのは、この何も変わらない交流電流を受け取って動くだけのスピーカーがハイレゾ対応って、何なんだろうと素朴に疑問に思うからだ。電磁石の制御の精度なんて、既に改善不能なところまで進歩しきっているわけで、一般大衆を馬鹿にするのも程ほどにして欲しいという嫌味である(笑)

さて、このDACという機械。ハイレゾ対応はさておき、いわゆる「オーディオ」と言ったものの構成要素の中でも重要なパーツだと私は思っている。デジタルデータを電流としての波形信号に変換するわけであるので、「変換後の波形の美しさ」がその後、スピーカーやイヤホンで増幅される実際の音にかなり影響しているように思える。

一言断っておくと、その違いは、例えるなら水道水とミネラルウォーターの違いのようなものだ。その差は小さいと思える人も多いかもしれない。ただ、絶対的には違うし、ミネラルウォーターを飲み続ければ、水道水なんてまずくて飲めない。そういう類のものだと思う。



そんな大事なDACのうち、今回はPCに接続するUSB-DACという機械に絞って話をしたいと思うが、その理由は明白だ。昨日、会社の後輩から「いいUSB-DACのオススメありますか?」と聞かれたからだ(笑)。そろそろ本題に入ろう(笑)

DACを選ぶ際、重要なのは、「出力される電気信号がどうであればうれしいか」をきちんと意識する事だ。「まるで深みのあるボルドーのような音色」とか「晴れた朝のカフェでエチオピアモカのドリップコーヒーを飲むかのような爽やかな音色」なんてのはどうでもいい(笑)

だいたい次のような点に注意して、レビュー記事などを読めば良いと思う。
・音声信号として0/1のデジタルデータを分離して波形信号に変換できるか?(解像度)
・ノイズについてはどうか(SN比)

そして、影響の大小は懐疑的なところもあるが、
・電源が強化されているか(バスパワーのみか、外部電源が使えるか、バスパワーのみの場合は電源回路を工夫しているか)
についても多少は意識しても良いかもしれない。

先ほどどうでもいいと書いた要素はつまりは「音色」なわけであって、DACの構成要素には本来必要のないものである。必要であればイコライザなどで調整すれば良いし、少なくとも大事なことは「DACの善し悪し」とは分離して考えるべきであろう。

そして、DACはこの性質からまずほぼ「採用するチップの性能」でその素性が決まる事になる。リファレンス基板の設計に従い、「その性能を引き出せるように」や「その性能を邪魔しないように」回路がなされていれば、良いDACだと言える。

様々な価値基準があり、なかなか断言もしにくいところもあるが、この記事では音声のデジタルデータを正しい交流電流に変換するための機械としてのDAC性能のみを重視し、「チップの素性」を重視することとする。なぜなら、胡散臭い話の多いオーディオの世界で、このDACチップに関してだけは、その性能がデータシートで評価できる、いわば聖域であると思っているからだ。

ちょっと長くなってしまったので、記事は次回にわけることとする。

次はこの言わば聖域であるDAC界で、最近特に注目を浴びているESS Technology社のDACチップについてと、そのチップを採用しているおすすめのDAC群について、述べてみたいと思う。

というか、次回の記事だけで十分って言われそう(笑)

ゴメンね。

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