スピーカーについて深く考えすぎる②(理想的なスピーカーとは何か)


前回は、ほぼDV62siの話で終わってしまったこのシリーズ、今回はならばいったいお前は何をそんなに深く考え込んでいるのかという点についてまとめてみたいと思う。

なお、今回の記事は超絶ディープなので、皆さん、ご注意願いたい(笑)


スピーカーとは何者か

家電量販店のスピーカー売り場を覗いてみれば、ユニット数がツイーター/ウーファーの2個、バスレフポートありの箱型、なんて見慣れた構成のスピーカーが大量に溢れている。当然前回紹介したDV62siも同様の構成のスピーカーだ。

これこそが「THE スピーカー」だ、なんて言わんばかりに、主要メーカーはほぼ同じような構成のスピーカーを販売していて、ウーファーとツイーターの上下すら固定的に「ツイーターが上」となっているわけで、ここに一瞬でも疑問を感じる方が頭がおかしいのだろうかなんて思ってしまう。

もっとこういう変な形のスピーカーをたくさん見て固定概念を崩そう。ちなみに数百万。

昔ならば、何か一度その言葉について考え直そう、なんて時は百科辞典を開いたのだと思うけど、手元にないのと、大して記述はなさそうなのでみんな大好き、Wikipediaで一度スピーカーのページを確認してみよう。

スピーカー - Wikipedia

Wikipediaの内容、かなりの情報量だなあ。みんなスピーカー好きすぎるだろ(笑)

なお、情報の正確さでは著しく問題のあるWikipediaも、集合知として、多彩さや情報量では利点があり、特にこういう「みんながどう考えているのか」を知るには最適だろう。

さて、色々多岐にわたって書いてあるこのページ、皆さんも必要に応じて目を通して欲しいけど、特に箱型スピーカーというものが何者かという点について、重要なポイントが記載されている。

「音質の悪化を限りなくゼロに近づけるには巨大な面積を持つ1枚の板にユニットを取り付ければ理論上可能である(平面バッフル)。しかし、事実上困難である為「箱型」になった。」

そう、原点から考えれば、箱型である理由は、平面バッフルの板を後ろに折り曲げて閉じた、ただそれだけなのである。

よく神様が全てを創ったという話に「インテリジェント・デザイン(英: Intelligent design = ID)」なんて言葉を使うのだけど、現在のスピーカーの構成は、IDから産まれた平面バッフルを人間にはうまく実現できず、色々と弊害のある「仕方なしに箱型に」した、そんな風にも見えてしまう。

そして、この妥協こそが「人類が知恵の実を食べて、そこから苦悩が始まった」のと同様に、我々、迷える子羊が、スピーカー選びに決定的な軸を見出せなくなった(つまりスピーカーに神の影を見出せない)、根本的原因なんじゃないかとボクは思う。

いや、大げさか(笑)

スピーカーの話で、神の話したらアホだと思われる(笑)

でも、「神の影を見出せない」というのは、観念的であいまいな言葉だけど、なんか真理をついているような気もするんだよなあ。

少なくとも、ボクに直感的にコレジャナイ感を感じさせている原因はここにあるんだろう。

原点から考えるエンクロージャーの役割

理想的なスピーカーを考える前に、そもそものスピーカーシステム、つまり、スピーカーユニットとエンクロージャーの関係について整理してみたいと思う。

まず、エンクロージャーが何をしているか、という事なのだけど、理想的な構成からすれば、我々が直接制御しうるのは、スピーカーユニットのみである以上、音を出す(空気を振動させる)のは原則、スピーカーユニットのみでなければならないはずだ。

それ以外の音は制御不能であるので普通に考えれば「余計な付帯音」と考え、排除するべきだろう。

上記のように考えると、理想的には、必須となる、エンクロージャーの役割は以下の3点にまとめられるんじゃないかと僕は思う。

1.背面から出る音を閉じ込めて前に出ないようにする

この点はとても重要なのだけど、スピーカーユニットは前後に振動しているわけで、当然、前面と背面から「逆位相の音」が出ている事になる。

これらが干渉しあうと、逆位相のために音が打ち消しあったり、混ざって濁ったり、合成されて一部のみ増幅されたりと、良いことは一つもなく、背面に放出された音をどう消音するかが重要な役割となっている。

なお、「箱」に取り付けると音が大きくなるけど、これは実際には箱が響いているという事も実質的にはあるかもしれないけど、下記の足場の効果とあわせて、逆位相の音波にキャンセルされて消えてしまっていた音が、ちゃんと前に出てくるようになるためだと理解した方が正しいだろう。

2.スピーカーユニットを固定し、正しく動けるようにする

エンクロージャーは余計な響きを発生させず、中高域の振動板の振動をユニット取り付け部の揺れが吸収してしまわないように硬い足場として作用し、またスピーカーユニット(スピーカーコーン)とエンクロージャーが双方に影響しないよう、十分に重い質量系として働く必要がある。

昨今、無垢材では無くMDFが多用されているのも、当然コスト的な観点も大きいが、MDFが重く鈍く硬いという事も大きいのだろう。(パーチクルボード、お前は駄目だ)

3.スピーカーユニットをある空間の1点に固定する

スピーカーユニットはフワフワと浮いてくれないので(笑)空間の一点に、性能が最大限発揮できるよう位置を調整する必要があるので、空間固定のための台座としての役割は十分に大きい。


以上、三点をスピーカーエンクロージャーの必須機能であると考えた場合、それ以外の要素、特に低音増強なんてどう考えるんだ?なんて話になるけど、それは次回あたりに述べることとしたいけど、本質的には「ユニット・ファースト」で考えるなら、エンクロージャーは余計な仕事をせず、素直にウーファーユニットを追加する方が理想的には正しいような気がする。

エンクロージャーは出音に関しては、あくまで縁の下の力持ちの範囲を超えないことが理想的には大事なんじゃないかと思う。

僕らは何を再生し、何の音を聴いているのか

さて、ここまでで、理想的には「スピーカーには音源に含まれる音のみを正しく再生する」事が求められるという話をしてきた。

しかし、実際にはありとあらゆる、物理的制約や構造上の問題から、いわゆる付帯音が発生し、これらの音も含まれる形で耳に届くことになる。付帯音の無いスピーカーなんて存在しないというのが実状だろう。

そろそろ「付帯音、付帯音とうるせえな」という方もいるかと(笑)思うけど。

それを理解したうえで、次に思うこと、それは音楽を聴くときに感じる響きや低音の伸びについて、「元々こういう音がこの音源に入ってるんだろうか?」という疑問だ。

あるCDやレコード、もしくはハイレゾの音源を聴く場合、いったい僕らは何の音を聴いているのだろう?

次はこれについて考えてみよう。

最近はコンピューターで直接音声データとして出力するケースも多いと思うけど、話がややこしくなるので、シンプルに、生演奏を録音し、これを音源として再生するパターンで考えてみよう。

細かくは、マイクの特性なんかもあるのだけど、一部の影響は無視することとして、演者の生演奏がスピーカー経由で耳に届くまでを整理すると、だいたい次に述べるような音の組み合わせとして聴こえる事になるだろう。

1.楽器の奏でる音楽
2.録音をする部屋(ホール)の音響特性により発生した付帯音
3.再生装置・スピーカーの特性により発生した付帯音
4.再生をする部屋の音響特性により発生した付帯音
(5.脳の活動によるプラシーボにより生成された付帯音)

(まあ、5の影響は大変大きいような気がしているけどややこしいので無視しておく(笑)。あと、2と3の間に、「マスタリング」という大変に厄介な存在があるのだけど、ここでは1もしくは2に含める形で議論する事にする。)

ここで、ボクが最近改めて重要だと認識しているのは「2のホール特性等による付帯音(もしくはそれを意図してマスタリングで加えられた音)」である。

実際、良い録音の音源を再生する場合、この付帯音(心地よい響きとして感じる)がグッと雰囲気を演出し、なんとも気持ちよく聴かせてくれる。(注意としては音質自体が改善されているわけでなない)

そして、大変に重要な点。それは、スピーカーを語る場合に、2と3を混同してはならないという事だ。

どうも、オーディオシステムを考える時、この業界は2の心地よい響きのようなものを、3で発生している付帯音と一緒くたに考えてしまう節があって、欠点や機器の劣化すら味わいと混同し、もうわけのわからない状況を生み出しているように思う。

実際にYoshii9などの「付帯音の少ないスピーカー」を使い始めた人から、よく聞かれる話として、「なんだか再生音がつまらなくなったように感じる」なんてレビューを見たりするけど、実際はそうじゃなく、「ただその音源が元々つまらない」だけであり、その音源には入っていない付帯音を聴いて、それまでは満足していたという事だろう。

Yoshii9の音も一度は聴いてみたい。ちなみにわざと聴かないようにしている(笑)

正直、それがマスタリングにより付与された付帯音であろうと、再生装置により付与された心地よい付帯音であろうと、それが聴いて良いものであればそれでいいと僕は思う。

だけど、例えばフランス料理のフルコースを食べる場合に、それがシェフの作ったそのままのものなのか、自分で知らないうちに醤油をかけて旨いと思っているのか、そこは知った上でないと、少なくともそこの店を正しく評価する事はできないんじゃないだろうか。

そして、完全に完成されたフランス料理に醤油をかけてしまっているとしたら、それはあまり気持ちのいい話じゃないはずだ。いや、それが「なんでもかんでも美味くなるソース」だったとしてもね(笑)

僕らは何の音を聴いているのか。

それは少なくともスピーカーを考える際、決して無視できないポイントであり、少なくとも、自宅のオーディオシステムを組む場合にはここに注目しないと、一生、「制御可能なオーディオシステム」は組めず、出音のトータルを当てにならない「自分の感性」のみで評価するような、なんとも手探りで泥沼なピュアオーディオの世界を彷徨うはめになるだろう。

以上から、個人的には「正しく再生できる」システムを組んだ上で、次の段階としてジャズやロック、クラシックと言ったジャンルによって、その「良い効果を生む付帯音の付与」を考えるという二段構えで臨むのが、良いんじゃないかと思っている。

今回のまとめ

ああ、思い出した。僕がスピーカーの話題に近づかなかった理由。それは広大なるモヤモヤの大海への船出だからだった(笑)

当然、今回の文章も推敲に推敲を重ねて、記述するも、当然書ききれないし、正直、文章ももう少しブラッシュアップが必要だ。

まとめれば、書きたい事は「なんかいま売ってるるすぴいかぁって、なんかわかんなくね?もちっとよく本質をみきわめないとたかいの買ったら後悔しそうじゃね?」だけなんだけど(笑)

ここまでやって、何か違うななんて思う自分を想像すると、、、嫁のビンタで昇天できそう(笑)

でもね、本当によく付帯音の除去に配慮したシステムで、良い録音の音源を再生したら、かなり良い結果が得られるだろう事が、実験的に組んでいる僕のシステムからも感じられていて、ああいう音の究極的なのをもっと聞きたいと思うんだよねえ。

最終回じゃないぞよ。もうちっとだけ続くんじゃ(永遠に続くパターン笑)

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